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表面利回りに惑わされるな。実質利回りが投資判断のカギ
「利回り8%」の文字に惹かれて購入した物件。しかし、管理費や修繕費、空室リスクを差し引いたら…?本当に残る利益=“実質利回り”を見極めることが、不動産投資で成功する第一歩です。
エピソード1:競売物件リスクと再生の現場力
競売物件は価格の魅力がある一方、“見えないリスク”も抱えています。山手線徒歩圏という好立地に惹かれて落札した物件。しかし、扉を開けた瞬間に広がっていたのは、想定外のカオスでした。
契約書が存在しないまま入居している住人が約3分の1。家賃滞納も多数。鍵の返却を求めたら「手数料を払え」と言われる始末。17㎡のワンルームに複数人が住み、消防法違反も見受けられました。さらにはデリヘルの待機所や多頭飼育された部屋、ゴミ屋敷化した空間まで。
最終的には、すべての入居者と定期借家契約を結び直し、空室はリノベーション。トラブル部屋も徹底清掃・再募集を行い、法的整理と募集戦略の見直しにより、収益性も物件の印象も一変しました。
まとめ
競売物件は価格だけで判断せず、「人」と向き合う覚悟が成功の鍵です。収益だけを見ず、トラブルをどう処理するかの力が真の価値を生み出します。
エピソード2:原状回復トラブルを防ぐ知識と対応
「東京ルール」に代表される原状回復のガイドライン。制度を“知っている”だけでは足りず、オーナー自身が“活用できるか”が問われます。
たとえば、冷蔵庫後部の電気ヤケは“通常使用”の範囲なのでオーナー負担。家具で破損したクロスも、クロスの耐用年数(6年)にもとづき、残存価値に応じた精算が原則。全面張り替えが必要な際も、破損していない部分の費用は入居者に請求できません。
多くのトラブルは、契約時の説明不足と知識の不一致から生じています。「原状回復=すべて借主負担」といった誤解をなくすためには、事前説明と根拠のある対応が重要です。
まとめ
原状回復は契約時の説明がカギ。“ルールの運用力”が信頼関係を支えます。正しい知識と適切な説明が、トラブル回避の最短ルートです。
エピソード3:管理委託の盲点。PMとBMの違いとは?
「管理は任せているから安心」——。その言葉に隠れた見落としとはなにか。
不動産管理には、入居者対応を行うPM(プロパティマネジメント)と、建物設備の維持を担うBM(ビルディングマネジメント)の2種類があります。PMでは、空室募集・入居審査・契約管理・家賃督促・クレーム対応・退去手続きなどが含まれます。一方、BMは共用部清掃・法定点検・エレベーターや消防設備の保守・修繕工事などが主な内容です。
どちらか一方のみ契約しているだけで、「全部やってもらっている」と思い込んでいるオーナー様が多いのが現実。実際には「PMのみで建物の点検は未実施」「BMのみで入居者トラブル対応は放置」などのケースも少なくありません。管理体制を明確にし、委託範囲を把握することが、トラブルの回避と資産の保全につながります。
まとめ
管理は“丸ごと依頼”より“範囲の把握”が重要。PMとBMの違いを理解することが資産運用の第一歩です。委託内容の再確認が、トラブルの芽を摘む鍵となります。